獅子座とライオン2
「てめえ、何モンだ?」
オレたちのチームのアジトの住所が書かれたメモを見せられ、
そこへ連れて行け、という。
タダモンじゃあねえことだけは確かだ。
オレは自然と臨戦態勢を整え、を睨みつけながら構えた。
「・・・・?
レオーネさん・・・?」
ぽかんとする。
それも、『マヌケな観光客』の振りか?!
「とぼけるのはやめな。
その住所に何があるのか、知っているんだろう?!」
オレの言葉に納得いったのか、あぁ、とが頷いた。
「この場所に在るものをご存知なのですね?
でも、安心して下さい。
レオーネさんみたいに一般の方からしたら、怖いと思うところかもしれませんけれど。
この場所にいらっしゃる方々は、皆さん心優しい方ばかりだと聞いています。」
オレがその『心優しいギャング』だとも知らず、
はのんきに微笑んだ。
オレはその反応が気に喰わなかった。
「だからッ!!
てめーは何モンだと訊いているんだッッさっさと答えなッ!!」
掴みかからんばかりの勢いで怒鳴ると、
さすがにはびくり、と肩を震わせた。
「・・・レオーネさん?
どうしたんですか?」
「どーしたもこーしたもねえ!
オレはなあ、その『心優しい方』の一員なんだよッ!」
くそっ、自分から正体を明かしちまった。
こうなりゃ、こいつの返答次第では殺り合うしかねえな。
だが、は意外な反応を示した。
「わぁ!そうだったんですね!
私、まだメンバーの方のお名前やお顔を覚えていなくって・・・
ごめんなさい。
これから、どうぞ宜しくお願いします。」
ふかぶかと頭を下げた。
要領を得ない返答に、辟易する。
「・・・だから!
何モンだ!?と訊いてるだろう!!
何でうちに連れてかなきゃなんねーんだ?!
てめーもギャングなのか?!」
「あっ、ごめんなさい!
いいえ、私、そんなんじゃあありません!
私は、SPW財団の者なんです。
そちらにいらっしゃる、J・P・ポルナレフさんに会いに来たんです。」
その言葉に、オレは呆気に取られてしまった。
「紹介しよう。
SPW財団の敏腕秘書、・さんだ。
矢のこと、スタンドのことなどについて、
ポルナレフさんと話をする為にここに来られた。」
オレらのアジトで、
リーダーであるブチャラティがそうを紹介した。
・・・敏腕秘書だって?!!
まさか!!
だって、あんなにマヌケだったぜ?!
しかし、オレの予想を裏切って・・・
「初めまして。
SPW財団秘書、・と申します。
どうぞ宜しくお願いします。」
さっきまで、おどおど、ふわふわしてたはそこにはいなかった。
眼鏡をかけ、姿勢をぴしりとただし、ふかぶかとお辞儀をする。
きびきびした喋り方は、確かに、敏腕秘書と呼ぶに相応しいそれだった。
「早速で申し訳無いのですが・・・」
と、ボスであるジョルノの方へ向かう。
ジョルノの手に握られた例の亀・・・
ポルナレフさんと向き合う。
ポルナレフさんと挨拶を交わし、早速、深刻そうな顔で話し出した。
流暢なフランス語だ。
その横顔を見ていると、本当にさっきまで一緒にいた女と
同じ人物だとは考えられない。
オレがぼんやりとその様子を眺めていると、
ブチャラティがオレに話しかけてきた。
「アバッキオ。
突然で悪いが、彼女をお前の家に泊めてくれ。」
・・・・・
オレはあまりに突然のことで、
そして、意外なことで、
声も出なかった。
「・・・なあ、ブチャラティ・・・
嘘だよな?何でオレが・・・」
「彼女はSPW財団の人間だ。
しかも、矢のことを知っている。
それを狙う連中もいるかも知れない。
任務は、彼女の監視と護衛だ。」
「ちょっと待ってくれ。
監視と護衛なら、なにもオレでなくたっていいだろう?!
他のメンバーでいいじゃあないか。
例えば、そう、同じ女のトリッシュでも構わないんじゃあないか?」
そう言うオレに対し、ブチャラティは首を振った。
「トリッシュは、いくらスタンド使いだからといって、
組織のメンバーじゃあない。
それに、学校にも通ってる。
この任務は任せられない。
同じ女性であっても、だ。」
「じゃあ、ミスタか、フーゴにでも・・・」
「ミスタはダメだ。
万が一、ということが・・・あるからな・・・」
「万が一?」
「・・・襲いかねない、ということだ。
普段のアイツなら大丈夫だろうが・・・
酒でも入ってみろ。
軽いアイツのことだ、無理矢理襲う可能性が無いとも言えない。」
オレは、あぁ、と、力なく頷いた。
「フーゴは、紳士に見えて狂気を秘めている。
が何かでフーゴを怒らせ、怪我を負わせる可能性が無いとも言えない。
ナランチャは、ちゃんと女性をもてなせるかどうか不明だ。
いちいちオレに電話してきそうだしな。
それに、ジョルノとオレも無理だ。
ジョルノはボス業と学校で忙しいし、
オレは今回、別の任務に当たっている。
とてもを護衛出来る余裕が無い。
だが、アバッキオ、お前は女の扱いにも慣れてるだろうし、
(現に、を連れて来たのはお前だ)
スタンド能力抜きで、お前が一番腕がたつ。
・・・ということで、アバッキオ、お前が適任なんだ。
いいか、これはお前の任務だ。」
そう決定的に言われ、オレは、はぁ、と、肩を下げた。
「あの・・・レオーネさん。」
がオレの傍に来て、もじもじしている。
眼鏡を外したは、さっきまでの毅然とした態度は微塵も感じさせない。
「レオーネさんのお家にお邪魔することになった、って聞いて・・・
あの・・ご迷惑おかけするかもしれませんが、
どうぞ宜しくお願いします!」
ふかぶかと頭を下げるを見て、
オレは深く溜め息を吐いた。
TO BE CONTINUED
☆☆☆
アバッキオ第2弾。
早くキャッキャウフフさせたいですね。
アバッキオ相手だと難しそうですが。
↓宜しければ感想などどうぞ♪
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