強くなれ 5
それから更に2年・・・
私の前から、アレルヤが消えて、4年が経った・・・
・・・4年・・・
4年もアレルヤに逢ってないなんて・・・
とても信じられない。
4年間、ほぼ毎日、あらゆる軍の施設のシステムにハッキングしたり、
先輩兵に近付き、色々な情報を聞き出したりしたけれど、
なにひとつアレルヤに繋がる確定情報には至らなかった。
でも、軍に拘束されていることは確実だった。
それだけが、私がまだ軍に所属している理由だった。
最近、軍は統一され、地球連邦軍となった。
そして、独立治安維持部隊アロウズが設立され、ピーリス中尉も招集がかかった。
私は、中尉から離れたくなくて、上層部に掛け合って貰い、
私もアロウズへと入隊させて貰った。
それと同時に、私の階級は上がり、准尉となった。
私がアロウズへ転属してからほどなく・・・
「。分かったぞ。」
訓練後、休憩室に居ると、ピーリス中尉が声を掛けて来た。
「?!」
「羽付きのパイロットの拘束場所だ。」
「!!!」
アレルヤの・・居場所!!!
「これから、そのパイロットの所に行くが、一緒に行くか?」
願っても無い申し出に、私はソファから立ち上がり敬礼した。
「はい!!お供します!」
向かった先は、地球連邦軍反政府勢力収監施設。
・・・こんな所に、拘束されていたなんて・・・
でも、これでアレルヤに逢える・・・!!!
収監部屋の扉の前で、ピーリス中尉が私に振り向いた。
「、どうする。
准尉も被検体E57に話を聞いてみるか?恋人の行方を知っているか・・・」
私は戸惑った。
アレルヤに話しかけたら、私の素性がバレる恐れがある・・・
話したい気持ちでいっぱいだったけれど・・・
今は・・・
「いえ・・あの、ちょっと怖いので・・・今日は、いいです・・・」
俯きつつそう応えると、
「そうか。」
と、中尉は私に気遣ってくれた。
お供の人が、扉を開く。
薄暗い部屋。
なんにもない、部屋。
そこに、拘束服を着せられ、口には拘束具を着けられ、
・・・アレルヤが居た・・・
眠っているのか、俯いており顔は見えないが、確かにアレルヤだ。
私は、ようやくアレルヤを見つけた、ということに、胸が熱くなった。
「起きろ。被検体E57。」
ピーリス中尉の声に反応し、呻き声を上げながら、アレルヤは顔を上げた。
その顔は、とても疲弊しきっている。
・・・アレルヤ・・・
「この男ですか。
4年間この収監所に拘束されている、ガンダムのパイロットと言うのは。」
アンドレイ少尉が中尉に話しかけた。
・・・4年間・・・
4年間も、こんな所に、こんな状態で・・・
私が、もっと調べていれば・・・!!!
私は、自分を責めた。
「んーー!!!」
突然、アレルヤが声を発した。
いや、声を発したそうだったが、拘束具を着けられている為、声にならない呻き声だけ・・・
その痛ましい姿に、私は思わず顔を背けた。
ピーリス中尉が合図をすると、お供の人がアレルヤの口元を覆っている拘束具を外した。
私は、アレルヤと、ピーリス中尉が話しているのを、後ろの方から見ていた。
久し振りに聞く、アレルヤの声。
愛しい、その声。
私は、涙を抑えるのに必死だった。
部屋を出た後、
「中尉・・・すみません、ちょっと、気分が悪いので・・・」
私は、早くイアンさんに連絡を取りたくて、そう切り出した。
「そうか。、顔色が悪いな・・・
羽付きのパイロットに会ったのだから、そうなる気持ちも分かる。
少し休め。」
中尉が私の肩をぽんと叩いた。
「・・はい、ありがとうございます。」
ピーリス中尉と別れ、一人になれる場所に行くと、早速、携帯端末を出した。
イアンさん宛てに、アレルヤを発見したこと、この施設の内情、見取り図、
そして、アレルヤの居る場所を報告した。
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ソレスタルビーイングのトレミー。
「!
からの緊急暗号通信だ!」
懐かしいなあ、と言いながら、イアンが内容を開いた。
「!!アレルヤを・・見つけただと?!
あいつ・・本当にやりやがった!!!」
その後に、王留美からも、アレルヤを見つけた、という通信が入ってきた。
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イアンさんに報告後、すぐに返信が来た。
『救出プランをミス・スメラギが立てる。それまで待機出来るか?』
「大丈夫です。待機します。」
イアンさんに返信を終えると、私は空を仰いだ。
もうすぐ、皆が助けに来てくれる。
きっと、アレルヤを助け出す。
・・・待っててね、アレルヤ!!
おしまい。
☆☆☆
アレルヤ発見の舞台で、ヒロインちゃんがこんな暗躍をしてたらイイ。
↓宜しければ感想などどうぞ♪
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