強くなれ 8(sideアレルヤ)



僕はシャワーを浴び、新しい制服に袖を通すと、ブリッジに向かった。
そこには、やマイスター、クルーが全員揃っていた。
懐かしい面々。

「皆・・・助けてくれて、ありがとう。」
僕は、皆の顔を見渡しながらお礼を述べた。
そして、隣りに居るへと目を落とし、微笑んだ。

「つかぬことをお聞きするです〜」
イアンさんのお嬢さんだというミレイナが、僕との前に立った。

「おふたりは、恋人なのですか?」
その言葉に、僕とは頬を染め、ふたりでみつめあった。

「え・・と。そうだね。」
僕は照れながらも、の指を絡め握ると、そう応えた。

「わぁ!乙女の勘が当たったですぅ!
 ところで、さんは、何故アロウズの軍服なのですか?」

勘が当たった、と喜びつつも、の軍服姿に不審げな目を向ける。

「これは・・・アレルヤを見つける為に、アロウズに潜入してたの。」
は、ちょっと困った顔で応えた。

・・あなたって子は・・・無茶するわね・・・」
スメラギさんが、呆れたような様子で、を見る。

「アレルヤの為なら、何だってしますよ。」
悪びれもなく、は笑いながら、スメラギさんに応えた。

「大変だったな、。」
刹那が、気遣いの言葉を口にした。
子供だった刹那は、もういない。

「うん・・そうだね・・
 でも、こうやって、アレルヤを助けて貰って・・報われたよ。
 ありがとうね、刹那。
 ・・・ところでさ、刹那、大っきくなったね。」
ふふっ、と笑う
僕もなんだか笑みがこぼれた。

・・あの、怪我、大丈夫?血がすごいけど・・・」
フェルトが、の軍服に広がっている血を指差して、心配そうに声を掛けた。

「うん、大丈夫。アレルヤが処置してくれたから。」
そう言って笑うの顔には、やはりどこか血の気が薄いような気がする。

「えっ、僕が着替えてる間に、ちゃんと手当てする、って言ってたじゃないか。」
僕が施したのは、あくまで応急処置。
シャワーを浴びてる間に、ちゃんと処置する、って言ってたのに。
今更ながら、軍服のままでいるに目を見張った。

「・・ごめんなさい・・・」
がしゅん、と俯く。

「あの・・の手当て、して来ます。」
僕は、の手を引くと、ブリッジをあとにした。



医務室。

医療カプセルには入りたくない、と断固拒否をするにため息を漏らし、
僕はの左肩の銃傷を手当てしはじめた。

弾は貫通しているらしく、止血するだけで良かったが、
か弱い女の子の肩に、こんな傷をつけてしまい、
改めて自分の不甲斐なさに腹が立った。

「ねぇ、。どうして手当てしてなかったの?
 モレノさんは居ないとしても・・・手当て出来る人は、居るだろ?」
自分への腹立ちをつい、に向けてしまって、少し冷たい言い方になる。
あぁ、僕ってばかだ。

「アレルヤが良かったの。」
ぽつり、と呟く

「えっ?!」
小さな君の声に、思わず聞き返す。

「手当てして貰うの、アレルヤが、良かったの。
 着替えなかったのも・・・私が着替えてる間に、また、
 アレルヤが居なくなっちゃうんじゃないか、って、すごく不安で・・・
 だから、皆と一緒に居たの・・・」

そしてまた、小さく、ごめんなさい、と、俯いた。

小さくなっているを、僕は思わず、ぎゅっと抱き締めた。
「大丈夫だよ、。もう大丈夫。何処にも行かないよ。」

頭を優しく撫でると、うん、と応えつつ、僕の胸へと擦り寄って来る。
この、温かな存在を、僕は絶対に護りぬく。
そう、強く自分に言い聞かせた。



おしまい。


☆☆☆

アレルヤに介抱されたい。

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