前夜


人革連の猛攻撃から一夜。

キュリオスから降りる際、に泣いている所を見られた僕は、彼女に会うのが少し気まずかった。
だけど、あの研究の事をスメラギさんに進言する前に、どうしてもに伝えておきたい事があった。
だから、気まずさも恥ずかしさも抑え、僕は、の部屋のインターフォンを押していた。

「はい?」

の声を聞くと、僕の心臓はどうかなりそうな程、飛び上がった。
でも、このまま帰れない。
僕は拳をギュッと握り締め、勇気を出して声を絞り出した。
「…、僕だよ、アレルヤだ。
…少し、話があって…」

少し間があって、部屋のロックが解除され、が顔をのぞかせる。
「アレルヤ…」

恥ずかしさから、なんだかお互い、頬を染める。
「えっと…ちょっと、いいかな…話、…」
僕は何て切り出していいか分からず、たどたどしく話し出した。

入り口の前で、佇む僕ら。

「あっ、アレルヤ、えと、…中、入る?」
が言いづらそうに僕の話に割って入った。

「…あ、そうだね、…そうして貰えると助かるけど…でも、いいのかな…僕が入って…」
いくら仲が良いクルーとは言え、男性と二人っきり、というのは…僕でも少し戸惑った。

「うん…いいの、アレルヤなら。他の人は入れてないんだからねっ。」
言いつつ、更に顔を赤くする

それって…自惚れてもいい、って事…?

僕は勇気の無さからその事には触れられず、勧められた椅子に座ると、僕の話を切り出した。

。次の、ミッションの事なんだけど、…スメラギさんに進言しようと考えてる事があるんだ。
聞いてくれるかい?」

「私が先に聞いてもいいの?重要な事なんじゃ…?」

「ん…だけど…僕の過去に関わってる事なんだ。だから…
ミッションとして知るよりも、僕の口から、にはちゃんと伝えたかったんだ。」

「アレルヤ…ありがとう…」
は、ちょっと困ったように、でも、嬉しそうに微笑んでくれた。

僕は、思い切って、僕の過去について話した。


超兵機関施設の事。
超兵の事。
次のミッションではその超兵機関の殲滅を行うつもりだという事。

僕もその超兵機関出身の超兵だという事。

そして、もう一人の僕の事。。。


は黙って頷くだけだった。
そして、少し、涙を目に浮かべて、僕を優しくみつめてくれた。

「そんな大切な事…話してくれて、本当にありがとう。でも、私、聞いても良かったのかな…」

「さっきも言ったように、…には、ちゃんと話したかったんだ。僕の事。」

「…ありがとう。アレルヤ。」

は、震えている僕の手を優しく握ってくれた。
そのぬくもりが、僕に勇気をくれた。

「…今から、スメラギさんに進言してくるよ。
そして、…もし、もしも、このミッションが本当に遂行されて、僕が成功して帰還したら…
には、もう一つ、聞いて欲しい事があるんだ。とても大事な…」

…僕の、本当の気持ちを…

今の話以上に大切な話、と聞いて、不思議そうな顔をする
「…うん、分かった。ミッションに成功して帰って来たら…もう一度、ゆっくり話を聞くね。」
そう言うと、いつものように笑ってくれた。


この後、僕は、スメラギさんに、超兵機関殲滅の進言をする事となる…。
僕の過去との、決別……


おしまい。


☆☆☆

あの辛いミッションの前に、ヒロインちゃんと、こんなやりとりがあったら、きっと少しは勇気が出るんじゃないかな、と思って。
頑張れ、アレルヤ、ハレルヤ。。。

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