差し向かう心





「なァ、どーした?
 何かあったか。」

歳三は、伏せ目がちなに、何気なく尋ねた。

「うぅん・・・何でも・・・」

「何にも無ェってツラかよ。
 俺に話してみな。」

ジッと瞳の奥を見つめられ、
は、今日起こった自分の失敗を、
ぽつり、ぽつり、と話し出した。

涙が今にもこぼれそうなほどあふれている。
自分が情けなくて、嫌いになりそうで、
どうしようもなくイヤになる・・・


「ーー・・ふぅん。それで、か・・・」

歳三は、ゴツリとした侍の手で、
の涙を拭い取った。

そして、少し怖い、真剣な表情で、
しかし、優しい手つきで、
の腕を掴んだ。


「なァ、
 そーゆー、『負』の気持ちを持ったままだと、
 それに取り巻く『気』しか集まってこねぇ。
 そーすると、悪いことばっか起こる、って算段だ。
 分かるか?」

こくん、とうなずくのを見て、さらに言葉を続ける。

「そーゆー気持ちを取り除いて、考えを、思考を変えるんだ。」

は、ぽんやりとしつつも、また、こくん、とうなずいた。


 お前ェ、俺の生きざまに惚れてる、つってたよな。

 なら、お前の生きざま、俺は笑って見ててやるよ。
 好きに生きてみろ。
 自信を持て。

 いいか・・・俺が見ててやる。

 だから・・・」

歳三は、の頬に、
自身の頬をふわりとつけた。

「・・・だから・・・元気出せ。」

甘く、しかし、しっかりとした口調でささやくと、
歳三は、をきつく抱きしめた。


の中のもやもやは、
まだ少し残ったままだったが、
まるで厚い雲の隙間から、一筋の光が差し込んで来たかのような
神々しい気分になった。


これなら、また、明日も、
笑顔で生けそうだ。


は、誇らしげな目で歳三に応えた。


おしまい


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