2それぞれの「好き」な気持ち


〜宮田side〜

と知り合って数週間。
ロードワーク途中、ほとんど毎日、
アイツが一人、公園で空手の練習をしている姿を見かけた。
たまに話したりもするが、殆どは見るだけで、通り過ぎる。

寒さが未だ厳しい中、は空手着で、しかも裸足で、黙々と練習していた。
寒いはずなのに、汗をいっぱいかいて。
その汗が冬の弱い陽に照らされてきらきらと光る。

アイツを見てると、オレも負けてらんねえな、と、
練習に力が入る。


ジムに戻ると、たいてい、ファンの子たちが何人かたむろってて、
頑張って、だの、サインして、だの、握手して、だの、言ってくる。
オレは、練習があるから、と、全て断り、サンドバッグを叩く。
は、こんなこと一度も言ったことないな、と、思う。

この子らは、一人では来ない。
数人で群がってくる。
それに比べて、はいつも一人でオレと会うな、と、思った。


気がつくと、いつも頭の片隅でを考えている自分がいる。
なんだ?この気持ち。




Side〜

さん、持ってきたよ。」

お昼休みの教室。
幕之内君が、宮田さんのビデオを持って来てくれた。

「わぁ、どうもありがとう!
 私が宮田さんを知る前の試合だから、見たことなかったんだぁ!」



そう。
幕之内君と私は、クラスメイト。
彼がプロボクサーになった、と知り、
格闘技好きの私は、時々試合を見に行ったりしていた。
その試合会場で、宮田さんを知り、一気に惹かれたのだ。



「それと・・・」

幕之内君が、こっそりと、隠すように渡してくれた・・・

「これ、写真・・・」

証明写真のような、宮田さんのしっかりと前を見据えた顔写真。

「ジムに何枚かあったから、一枚くらい大丈夫だと思うよ。」

幕之内君が、恋のキューピッドに見える!

「わぁあ・・・ありがとう、幕之内君!!」

私は、宮田さんの写真をぎゅっと抱き締めた。


それから、幕之内君の知ってる限りの、宮田さんのことを教えて貰った。

「今度、ジムにおいでよ。
 ボクより、宮田君を知ってる人、いっぱいいるからさ。」

「うん!
 どうもありがとう!」


知れば知る程、宮田さんのこと、好きになる。
はじめは、アイドルに憧れるような気持ちだったけど・・・
実際に会って、話してみて、知っていくうちに、
これは、憧れだけじゃないんだな、って、気付くようになった。

この恋は、きっと成就しないと思う。
宮田さんは、雲の上の人だから。
でも、私はこの気持ちをずっと大切にしよう。
ずっとずっと、宮田さんのことを好きでいよう。
そう、思った。




☆☆☆

宮田君相手なら、誰でもこう思ってしまいますよね☆


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