2無自覚とオレ


なんか、オレ、最近おかしい。
心臓がバクバクいうし、頭に血が昇ったみたいにボーッとするし。
なんか・・・に会ってから・・こんなだ・・・。


「なあーー、聞いてくれよォォォオオオーーーー!!
 なんか最近、オレおかしイんだよオオォォーーーー!!!!
 なんかさあ、心臓がバクバクいうしーー、
 頭にさあ、血が昇ったみてーにボーッとするしさァァーーー。」

いつもの店で、ピッツァをつまみながら、
ミスタ、アバッキオ、フーゴ相手に相談してみる。


「・・そうですね、なんか最近おかしいですよね、ナランチャ。」
そう取り合ってくれたのは、フーゴ。
おお!分かってくれるかッッ!!!

それに反して、なんかイマイチなのは、ミスタとアバッキオのやろー。
「こいつ、気付いてねーぜ。」
と、ミスタ。
「ここまで頭悪いとはな・・・」
と、アバッキオ。

なんだってーー?!!

「なんだよ、ソレ!!!
 つーかさァァーー、分かってんなら、教えてくれてもいーだろーー!!」

「気付けよ、それくらい!自分で!!」
アバッキオがオレを足蹴にする。
なんだよ、この扱い!!

「大体は分かってるぜ、いくらオレでも!
 アレだろ、スタンド攻撃だろ?!敵かッ敵なんだよなッッ?!」
得意気にそう言うと、また、ミスタとアバッキオは顔を見合わせて、

「「はぁ〜〜〜」」
と、盛大に溜息をついた。

なんだってんだ、一体。

「???
 スタンド攻撃じゃないってんなら、一体なんだってんだよオオーー!!!
 教えてくれよオォオーーー!!!」
オレは、ミスタとアバッキオにすがりつく。

ほんとに、コレが一体なんなのか、知りたい。


「じゃあさ、ちょっと考えてみろよ。」
ミスタが、しょうがないな、という顔で、オレに言って来た。

「いつからそんな感じなのかを、さ?」

「・・・いつから、って・・・
 に会ってから、かな・・・」
オレは懸命に、脳内フル回転で答えた。

に会って、どうなったんだ?」
今度は、アバッキオが問いかける。

「えっとォォー、
 電気が走ったみたいにビリビリしてえー、
 心臓バクバクいってえー、
 頭が熱っぽくなってえー、
 ・・・なんか、わけわかんねえェェエエエーーー!!!」

もう、ナニ言ってんのかわけわかんなくなってきた!

オレは頭を抱えて、のたうちまわった。


「これは相当ですな、アバッキオさん。」
「そうですな、ミスタさん。」
ミスタとアバッキオは、なんか訳知り顔で目配せしてる。
すげームカつく。

「だーかーらあぁああーーー、
 なんなんだよ、一体?!!
 大概にしねえと・・・

 ・・・『エアロスミス』!!!!!!」

オレは、もう耐えられなくなって、スタンドを発動させた。

「言えよォォオオオーーーちくしょおおお!!
 一体!!!何だってんだよオオォォォオオーーー!!!!」

エアロスミスの照準を、このムカつく二人に向ける。

慌てた二人は、まぁまぁ、と、なだめるようにオレを抑えつける。
くっそぉ、デカイ大人二人でのしかかってきやがって、卑怯だッッ。

「つまり、アレだよ、ナランチャ君。」
ムカつく喋りのまま、ミスタが口を開く。

「そうそう、アレだよ、ナランチャ君。」
同じように、アバッキオまで言う。

「だから、アレって何だよッッッ!!!」

「おめーはお子ちゃまだからなぁ、分かんねーんだろーけどよー。」
と、ミスタ。
「つまりだなァー、好きになっちまったんだろ、のことをよー。」
と、アバッキオ。


・・・え・・・

・・・す、好き、って・・・???

「え、・・・す、好き、って・・・なんだ???」

オレは、よく分からないまま、思ったことをそのまま口に出した。

「おめーは!!!どこまでド低脳なんだ!!!!」
ミスタがオレにのしかかる体重を更に重くした。

「おっ重いいぃぃ!!!
 低能ってゆーなあぁあ!!!」
オレはミスタの下でもがいだ。

「あぁ、つまり・・こーゆーことですね。分かります。」
今まで黙っていたフーゴが声を発した。

「ナランチャは、に恋をした、と。」

「ひゃあー、やめろよ!なんか、こっちが恥ずかしくなる!!」
アバッキオが、自分の顔の前で、まるで臭いものを嗅いだ時みたいに、
手をばたばたと振った。

「・・・恋・・・」
口に出してみると、なんか、すげえ甘酸っぱい感じがする。
顔が赤くなるのが、自分でも分かる。


ああ、なんか、分かった気がした。
考えるだけで、胸が熱くなる。
そうだ、オレは・・・が・・・


「こんにち・・・アレッ、どうしたんですか?!!」
突然、オレが一番聞きたかった声が聞こえた。

が、店の入り口で、ミスタに全体重で抑えつけられているオレを見て
ビックリしてるみてーだ。

「どっ、どけよ、ミスタ!!
 がビビってんだろ!!」
オレが威勢良く怒鳴ると、

「へぃへぃ。」
にいーとこ見せたいもんな、と、ぼそっと呟くと、
ミスタはオレの上から退いた。

くそぅ、後で覚えてろよ。

オレは急いでテーブルを整えると、を招いた。
「おい、、こっち!座れよ。
 オレ、ちゃんと宿題、して来たんだぜ!」
誇らしげに言うオレを見て、は嬉しそうに笑った。

それを見て、フーゴは、
「当たり前でしょう。」
なんて、ブツクサ言ってたが、無視無視。

「凄いです、ナランチャ!私、嬉しいです!
 じゃあ、宿題、見せて下さいね。」
は、宿題のノートを開いた。
ノートを真剣にチェックするの横顔に、うっとりと魅入るオレ。

あぁ、これが恋ってヤツかあ。
なんて、ちょっと浸ってみる。

「えっと、ナランチャ・・・」
おずおずと切り出す

「え、なに?合ってる?」
オレは笑顔でとノートを交互に見た。

「・・・残念ながら・・・」
言いにくそうに、は苦笑してる。

「えー・・オレ、頑張ったんだけどなぁああーー。」
どこが違うんだろう。

「えぇ、ナランチャは本当に頑張ってると思います。
 一緒に、まずは、【1】から見ていきましょう?」

が、丁寧に1つずつ教えてくれる。

の細い、白い指がシャーペンを自在に操る。
の鈴のように響く声が、算数の計算を唱える。

オレには到底出来ねー事を、いとも簡単に解いてみせる
マジ凄え。

オレがを見つめていると、その視線に気付いたのか、
顔を上げたの瞳が、オレを見、そして、笑った。


ああ、いいな、こーゆーの。
ずっと、こーしてたいな。

そう思って、オレも、に微笑み返した。



TO BE CONTINUED


☆☆☆

きっとナランチャは純粋だと思う。

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