1日本へ・・・


の指が、オレの指をもてあそぶ。
なんだかくすぐったい。

いつもの店で、午後のお茶を楽しんでいたオレたち。
テーブルには、オレンジティーと、苺ケーキが行儀良く並んでる。

「ねえ、ナランチャ。」
もてあそんでいた指を、今度は、からませる。

「ちょっと・・・お願いがあるの・・・
 もし、ダメなら、いいんだけど・・・」
伏せ目がちに、控えめに、そう切り出した
彼女が、おねだりをするのはとても珍しい。
これは、是非とも叶えてやりたい!と思ってしまう。

「なに?
 言ってみて。」

「あの、ね・・・
 来週から、学校が、夏休みに入るのね。」

あぁ、そっか。
そんな時期かあ。
サマーバカンスか!!
つーことは、は学校に行かなくていーから、
ずっと一緒にいられる、ってことかな?!
なら、すっげー嬉しい!!

「それで・・・
 少しの間、日本に帰ろうかと思ってるの。」

・・・・

・・・え・・・
今、なんて・・・

「え・・?
 か、帰るの・・か・・・?!」
オレは驚き過ぎて、うまく言葉が出ない。

だって、ずっと一緒に居られる、って、
嬉しい!って、
そう、思ったばっかりだったから・・・。
日本って・・・
なんか、ピンとこないけど、
きっと、ずっと遠い所なんだろ?
オレ、どうしたらいいのかな・・・


「うん。
 日本に、帰ろうと思って。
 ・・そ、それで・・・
 もし、良かったら、なんだけど、
 ・・・ナランチャも、一緒に、日本に来てくれないかな・・・?」
おずおずと、言いにくそうに、言った。

え?!
い、一緒に、日本に行く、だって??!!!
そんなこと、考えたことも無かった!!!

オレは、がたん!と椅子から立ち上がり、
「オレ、ブチャラティに聞いてみるよ!!」
がからめた指はそのままで、
オレはへにっこり笑いかけた。
すると、はほっとしたのか、
ようやく、いつもみたいに柔らかく微笑んだ。


そこへ、ちょうど、ブチャラティが店に入って来た。
チャンスだ!!

「ねえねえ、ブチャラティ!!
 ちょっと、お願いがあるんだけどさあ!」
オレはいそいそとブチャラティの傍へと駆け寄る。

「?」
ブチャラティは、不思議そうな顔をしてる。

「オレ、ちょっとの間、休暇を貰ってもいーかな?」

「休暇?
 どうかしたのか?」

「あのね、オレ、と一緒に、
 日本に行ってみよーかと思うんだ!
 どー思う?ブチャラティ!」

少し考えて、ブチャラティは頷いた。

「分かった。
 には、ナランチャが必要、だと言うことだな?
 それに、ナランチャにも、良い経験になるだろう。
 行ってくるといい。
 それで・・・どれ位で、こちらに戻ってくる予定だ?」
ブチャラティは、の方へ目を移した。

「はい、2週間程を予定しています。
 もし、ナランチャや、皆さんのお仕事に差し支えがあるなら、
 それより早めにイタリアへ戻って来るつもりです。」
は立ち上がり、ブチャラティが納得しやすいように、きちんと受け答えをした。
こーゆー、きちんとしたところが、オレは好きだ。

「いや、問題無い。
 仕事は、他のメンバーに割り振る。
 ナランチャ、お前は他の国を見て、視野を広げてくるといい。」
そう言うと、ブチャラティはいつものテーブルへと着き、
ピッツァを注文しだした。

「やったな!!」
オレはの傍へ戻ると、の手を取った。

「うん!
 ありがとう、ナランチャ!」
すげー嬉しそうに笑う

良かった!
が喜んでくれてる!

オレも余計嬉しくなって、自然と、すげー笑顔になった。


・・・ところで。
日本って、どこにあんだ?
夏だから、やっぱ暑いのかな??
でも、の居る国だから、きっと、素敵な国なんだろーな!
すげー楽しみ!!



TO BE CONTINUED


☆☆☆

ナランチャが日本に来たら・・・と思って、始めてみました。

↓宜しければ感想などどうぞ♪


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