2お隣さんはスタンド使い


S市杜王町。
ここが、の故郷。
ベッドタウンだが、避暑地でもあるらしくって、金持ちの別荘もたくさんあるらしい。
だから、サマーバカンス時期の今、帰省者と観光客でごったがえしてる。
だが、悪くないとこだ。


イタリアから日本へ来たオレたちは、
長時間の旅の疲れを癒す為に、早速、の家を目指した。
杜王駅からバスで暫くすると、の住む区画が見えてきた。

「ほら、あそこ。もうすぐ、着くよ。
 ・・・ごめんね、疲れたよね?」
が申し訳無さそうに、オレの顔を覗き込む。
オレはの手を取ると、
「ぜーんぜん!
 の故郷に一緒に来れて、すっげー嬉しい!」
にっこりと笑いかけると、は安心したように微笑んだ。


バス停から少し歩くと、の家に着いた。
ここいらの家はどれもデカイ。
オレが昔、家族と住んでた家なんかより全然デカイ。
皆、金持ちなんだろーか。なんて、どーでもいーことが浮かんだ。

玄関をが開けたから、オレは大きな声で、
「お、お邪魔します!!」
と叫んだ。
そう、の家族に聞こえるように。

すると、は不思議そうな顔をした。
「・・・どーしたの?」

「え、いや・・あの、の家族の人に、挨拶を・・・」

「あぁ・・・
 あのね、ナランチャ。
 私、ここに一人で暮らしてるの。」
は困ったような顔で微笑んだ。


オレは、言葉が出なかった。
こんなデカイ家なんだから、きっと家族の皆と暮らしてるんだと思ってたから。
こんなデカイ家に、は一人で暮らしてるのか・・・
なんて・・・寂しい・・・

「あ・・あの、・・・ごめん・・・」
申し訳無くなって、思わず謝った。

「どーして謝るの?
 全然気にしないで。
 ほら、荷物、中に入れよう?」

「う、うん・・・」

オレ達は引いてきたトランクを玄関へと押し込んだ。


「あら?ちゃんじゃない!
 帰って来てたのね!」

突然、隣りの家から女の声がした。
見ると、けっこう美人だ。

「朋子さん!お久し振りです!
 たった今、帰って来たところなんですよ!」
はにっこりと笑うと、オレの手を引いて、
トモコと呼ばれた女性の家の方へと向かった。

「朋子さん、紹介しますね。
 彼、ナランチャです。
 あの・・・私の・・恋人なんです・・・」
がどうやらトモコって人に、オレを紹介してるらしい。
日本語でしゃべってるから詳しくは分からないけど。
でも、が頬を染めて、ちょっぴり恥ずかしそうにしゃべってる。
きっと、オレのこと、ちゃんと恋人だ、って言ってくれてるんだろーな・・・
なんだかオレまで照れてくる。

「あのね、ナランチャ。
 お隣の、東方朋子さん。
 とてもお世話になってるお隣さんなの。」
はオレの方を向くと、イタリア語でそう説明してくれた。

オレは、なんて言っていーか分からず、ただ、
「どーも。」
と、ちょっぴり頭を下げた。

トモコって人は、オレとを交互に見て、
「いいわねえ、恋人かあ・・・
 ジョセフと私も真剣に恋をしたものだわ・・・」
ちょっぴり涙ぐんだりしてる。

「朋子さん、ジョセフっていうアメリカ人と恋をして、
 子供を産んでるの。
 でも、そのジョセフさんは本当の奥さんが居て・・・
 ちょっと複雑なの。
 だから、私がイタリア人のナランチャと恋してるから、
 余計にジョセフさんのこと思い出しちゃったみたい・・・」
がこそこそっと、オレに教えてくれた。
なるほど・・そんな事情があるのか、このお隣さんには・・・。

「ねえ、ちゃん、ちょっと上がっていかない?
 美味しいケーキがあるの。」
トモコって人がに何か言ってる。

「ナランチャ、美味しいケーキがあるから、食べていかないか、だって。」
が通訳してくれる。

本当は、も疲れてる筈なんだろうけど・・・
このトモコって人とこのまま別れるのも可哀想な気がする。
多分、もおんなじ気持ちなんだろう。

「うん、食べてこーぜ、ケーキ。」
オレはにっこりと笑うと、の手をぎゅっと握って、
トモコさんにぺこりとおじぎをし、お隣さんの玄関へと入った。


中に入ると、リビングで、学生の男がTVを見ていた。

「あ、仗助君!久し振り!
 ナランチャ、彼ね、朋子さんの息子さんで、仗助君。
 私の幼馴染みなんだ。
 私よりいっこ年上だから、ナランチャと同じ年だね。」
は、ジョースケってやつの紹介をしてくれた。
ジョースケはこっちを見ると、
「おー、か。え、なにそいつ?彼氏?
 つーか、マジでお前、外国行ってたんだ?!」
珍しそうに、とオレを交互に見た。
言ってることは分かんねーが、なんか、すげー失礼なヤツっぽい。
オレは一気に不愉快になった。
けどま、おんなじ年っつーし、の幼馴染みだ、っつーから、
愛想良くしてねーとな!

オレは我慢して、ぺこり、とおじぎをした。
けど、ソイツは無視して、の肩に手を掛け、
「なーなー、イタリアってどんな?!可愛い子とかいっぱいいるわけ?」
と、馴れ馴れしくしゃべってきやがる!!!

もう、あったま来たッッ!!!!

「エアロスミスッッッ!!!」
オレは叫ぶと、スタンドを発動させ、
ムカつくジョースケに銃弾を浴びせてやった!
(勿論、死なねー程度に、だけど。)

「ボラボラボラボラボラボラボラボラ!
 ボラーレ・ヴィーア!!!」


けど!
信じられねーことが起こったんだッッ!!!

ソイツは、オレのエアロの銃弾に倒れるどころか、
なんか・・・
いきなりもう一人のジョースケみてーなのが現れて、
テーブルを殴ったかと思うと、
盾のようにテーブルが銃弾を弾いた。
しかも!
銃弾でぼろぼろになったテーブルをもう一度殴ると、元通りの綺麗なテーブルに戻った!

なんだ・・コイツ・・・??!!
コイツも・・・スタンド使い・・なのか・・・ッッッ??!!


オレが呆然とジョースケを見てると、
ジョースケがに何かを言った。

「あの・・・ナランチャ・・・
 何を言ってるのか、よく分からないんだけど・・・
 仗助君が、・・・ナランチャも、スタンド使いなのか?って。
 ・・・ねえ、スタンド使いって・・・何・・・??」


あぁ・・・やっぱりそうか・・・
コイツも、ムカつくけどよぉ、・・・
スタンド使い、なんだな・・・

誰かが言ってたっけ・・・
スタンド使いは、スタンド使い同士、ひかれあう、って・・・


オレとの、波乱のサマーバカンスの幕開けだった。




TO BE CONTINUED


☆☆☆

杜王町に来ちゃったナランチャ。まずは仗助との出会いから☆
仗助は、イイやつなんだけど、ちょっと失礼なやつっぽいな、と思って。
(露伴先生に対してもそうだし☆)
なので、ちょっぴり失礼なやつとして書きました。
仗助ファンの方ごめんなさい☆

ジョセフをイギリス人、て書いてたので、アメリカ人に修正☆
ジョナサンがイギリス人だったからイギリス人かた思ってたら違ってた。
すみません☆


↓宜しければ感想などどうぞ♪


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