3トモコさんのジョセフさんの孫のジョータロー
オレは呆然としていた。
目の前に居る、気にくわねーヤローも、オレとおんなじスタンド使いだなんて!!!
チームのメンバー以外でスタンド使いに会うのは、
もしかしたらこれが初めてかも知れねえ。
が不思議そうな顔でオレとジョースケを見比べてる。
何か・・・話さないと・・・
でも、・・・何て言っていいのか・・・
オレが口ごもっていると、
ジョースケの方が先に話し出した。
なんでこう、オレの邪魔ばっかりするんだ!
ほんとムカつくヤローだぜ!
「なあ、。
俺がさ、小さい頃から、お前の怪我とか、たまに治したりしてただろ?」
「え?あ・・うん。あったね、そーゆーこと・・・」
「アレってさ、スタンドってゆー、不思議な能力なんだ。
スタンドを使える人間ってゆーのは限られててさ。
俺もそーだし、お前の彼氏もそーみてーだぜ。」
「ナランチャが?!不思議な能力を?!!」
ジョースケに何言われたか知らないが、
が驚いた顔をしてオレを見た。
恐らく、ジョースケが、オレのスタンド能力の事を話したんだろう・・・
・・・スタンド能力のことは、組織【パッショーネ】に関わりの無い
には黙っていたかったのにな・・・
くそう、ジョースケのヤロー、余計な事をッッ!!!
「ね、ナランチャ・・・
不思議な能力がある、って、ほんと?」
がおそるおそる、オレに尋ねてきた。
もう、誤魔化すことは出来ねえ・・・
「あぁ、ほんとだぜ。
・・・黙ってて、ごめんな。
これは、組織【パッショーネ】にも関わることだからさ。
には、隠しておきたかったんだ・・・」
「!え・・じゃあ・・・チームのみなさんも・・・?!」
「・・・ごめん、。
いくらが恋人だからって、これは話せない・・・
重大なこと、だから・・・
・・・ほんとごめん・・・」
オレは申し訳無くって、俯いた。
すると、はオレの手を取って、申し訳無さそうに笑った。
「うぅん。
ごめんね、私こそ、困らせるようなこと、聞いて・・・
その不思議な能力が、あっても無くても、
私がナランチャを好きなことに変わりは無いから!
私、ナランチャの不思議な能力のこと、ちゃんと黙ってるよ!」
そう気遣ってくれるが大好きだ、と思った。
オレはの目をみつめ、包まれた温かいの手を握り返した。
「あら?
お若い二人は、熱い目でみつめあってるのね〜〜」
そこに、ケーキとお茶を載せたお盆を持って、トモコさんが入ってきた。
「あっ!」
は恥ずかしそうに、握っていた手を引っ込めた。
オレもなんだか恥ずかしくなって、頭をかいた。
ふと見ると、ジョースケは面白くなさそーな顔してやがる。
オレは、ふん!と、わざと顔をそむけてやった。
オレたちは席に着き、美味しいイチゴケーキを味わった。
の通訳で、オレとトモコさんはすっかり打ち解けた。
そのかわり、ジョースケとは仲良くなることは無かったけど。
トモコさんと一緒に、が小さい頃の話を聞いた。
が小さい頃、東方家の隣りに引っ越して来て、
それ以来の馴染みらしい。
の母親は、引っ越して来たあと、病気で亡くなり、
父親もすぐに別の女と再婚。
は、父親と継母から疎まれるように暮らし、
が高校に入る前くらいから、父親と継母は別の土地で暮らすようになったらしい。
オレと、おなじだ・・・
母親が病気で、小さい頃に亡くなってたり、
父親に可愛がられてなかったり・・・
それなのに、オレみたいにぐれたりしねーで、
きちんと学校にも通って、外国の学校に留学までして・・・
はほんとすげーや。
笑顔で話すが、眩しかった。
「なんか、引き止めちゃって悪かったわね〜
また、いつでも遊びに来てね♪」
トモコさんと、ジョースケの見送りで、オレたちは東方家をあとにした。
でも、なんだか気になることが、ひとつ・・・
東方家の玄関で靴を履いていると、
(日本人てのはメンドーなことすんだな。)
ジョースケがに話しかけた。
「承太郎さん、元気にしてるぜ。」
「っ!そ、そう。それは良かった!」
焦ったの顔、赤くなってた。
そして、ジョースケが何かを企んでるような目で、にやり、とオレを見やがった。
気に食わねえッ。
オレには、日本語で交わされた会話が何だったのか分かんねーけど・・・
オレにとって良くないことだ、ってのは確かだ。
オレがに、
「何の話?」
と訊いたら、
「んーん、別に。友達が、元気にしてる、って言われただけ。」
と、顔を背けて返事された。
友達が元気にしてる、って聞いただけで、顔が赤くなんのかな・・・
オレは、胸の奥がチクン、と痛んだ。
家で荷物の整理をし、風呂にも入らせて貰い、
リビングでくつろいでいる今も、胸のもやもやは晴れていない。
なんか、ジョースケの話では、ジョータローって名前が出てたけど。
男・・・か・・・?!
そう考えると、ますます胸のもやもやは増してきた。
「なあ、。」
オレは、もう我慢出来ずに、に尋ねることにした。
「なあに?ナランチャ。」
は、いつもの笑顔で、ソファに座ってるオレの隣りに腰掛けた。
「あの、さ・・・
・・・ジョータローって、誰?」
そう言った瞬間、の顔色が変わった。
「さっきさ、ジョースケのヤツ、ジョータローって言ってただろ?
そしたら、、顔が赤くなってた・・・
オレ、どうしても気になっちまって・・・
・・・悪いこと聞いたなら、謝るよ・・・ごめん・・・」
あまりにもが動揺してるみてーだったから、つい、先に謝っちまった。
は、顔を俯かせたまま、オレの手を握った。
そして、今度はオレの顔をしっかりと見つめて、
「承太郎さんは・・・仗助君の親戚の人なの。
それで・・・私にとっては・・・
なんてゆーのかな。
憧れの人、かな・・・」
「憧れの、人・・・」
「そう。
ほら、ナランチャにとって、ブチャラティさんが憧れの人でしょ?」
「うん。」
「私も、承太郎さんが憧れの人。
強くて、カッコよく生きてる。
仗助君はそれを知ってて、からかってきたのね。」
ちょっと顔を赤らめて話すに、オレは嫉妬心を感じたけど、
でも、憧れの人、つーのは分かる気がする。
「なあ、写真とかねーの?どんな人?」
「おっきい人だよ。
写真はねぇ・・・
実は、朋子さんの恋人の、ジョセフさんのお孫さんなのよ、承太郎さんは。」
「???」
オレは混乱した。
えーと、トモコさんのジョセフさんの孫のジョータロー????
「・・だよね、混乱するよね・・・」
が苦笑してる。
「えっと、承太郎さんのおじいちゃんがジョセフさん。
仗助君のお父さんがジョセフさん。」
が分かりやすいよーに言い直してくれた。
あぁ、なんか分かった。
「すげー複雑、ってことだな。」
「そうなの。
だから、東方家にも多分、承太郎さんの写真は無いと思うな。」
「は?持ってないの?」
オレは、が持ってないことを祈りながらも、そう尋ねた。
「あ、今、試してるでしょ、私のこと?
もちろん持ってないよ!
恋人でもない男の人の写真は持たないですよ〜」
が勝ち誇ったような顔で言った。
オレはすげー安心して、の頬にキスをした。
それから、ふたりで顔を見合わせて笑って、
そして、長い時間かけて、長いキスを交わした。
胸の中のもやもやは、もう、どっかにいってた。
ようやく気持ちが落ち着き、
他愛もないおしゃべりをしてた時、
「そういえば・・・」
が、思い出したように口を開いた。
「露伴先生なら、承太郎さんの写真を持ってるかもしれない。」
「ロハン先生?」
「うん。
あ、ほら、ナランチャってさ、『北斗の拳』好きでしょ?」
「うん!大好き!」
「その『北斗の拳』が連載されてた『少年ジャンプ』って雑誌に、
今、漫画を描いてる漫画家先生なんだよ。
その先生も、承太郎さんとお友達だから、写真持ってるかも!」
「へえーー!
漫画家先生と友達なんて、すげえーー!!!」
「ね、明日、露伴先生のお家に行ってみよっか!」
「うおーー行きたい行きたい!!
もしかして漫画とか読めんのかな?!」
当初の目的を既に忘れかけてるオレだけど、
漫画家先生に会えるなんて思ってもみなかったから、
すげえワクワクしたんだ!
でも・・・
まさか、あんなことになるなんて・・・
TO BE CONTINUED
☆☆☆
またしても仗助、ちょっとヤなやつですみません。
多分、妹みたいに思ってた隣りの子が、彼氏連れてきたから、
ちょっとからかってやるか、みたいな感じですね。
↓宜しければ感想などどうぞ♪
【戻】