5言葉が無くても


オレとは、『言葉が通じない』心の不安をかき消すため、
ギュッ!と手を繋いだまま、家へと向かった。

の手が、あったかい。
が笑ってる。
が「ナランチャ」って、オレの名前を呼んでくれる。

それだけでもいーじゃねえか、って、自分に言い聞かせながら。


途中、オーソンってえコンビニに寄って、食いモンを買った。
身振り手振りでお互い会話する。
オレはサンドイッチとオレンジジュース、
はサンドイッチとアルフォンソマンゴーティー。
それと、お菓子と、晩飯の分も。

オーソンを出た時、が何か言いたそうだったが、
伝わるはずもなく・・・
オレは、ただ、小さく、
「ごめん」
と、謝った。


家に着くと、早速、買ってきたサンドイッチなんかで、
少し遅めのランチタイムをとった。

普段はいっぱいしゃべりながら食べる食卓が、
なんだか寂しく感じるかもしれねえ、って思ってたけど、
意外と平気だったことにオレは驚いた。

サンドイッチを頬張りながら、
とオレが見つめあって、笑いあう。
それだけで、心まで満たされるんだ。

なんだ。
意外と、言葉が通じなくったって、平気なのかもしんねーな!


ランチが終わると、
オレとはソファーに座って、TVを見た。
のアイデアで、言葉が分からなくても内容の分かる粘土アニメ『PINGU』ってやつ。
仕草や表情だけで内容が分かるから、
イタリア語じゃあなくっても理解出来るし、
(とゆーより、言葉が全部、擬音だしな!)
なによりペンギンの話が面白れえ!

しばらくTVに魅入っていたが、
ふと、横のに目をやる。

ほんと、オレはいっつもに助けられてる、って感じがする!

そのままを見てたら、もオレの方を向いて、微笑んでくれた。
そして、
「?」
と、首を傾げて、オレに「どうしたの?」って言ってるみてーだ。
すっげー可愛い!

オレはたまらず、の頬を撫で、そして、ゆっくりキスをした。

「・・・・・・」

「・・・ナランチャ・・・」

言葉が無くったって、愛し合える。
そう、すげえ実感した。

オレたちは、何度も何度もキスをして、
それだけじゃあ飽き足らず、
そのままソファーで何度も何度も体を重ねた。

それから、一緒にシャワーを浴びて、
少しの晩飯を食って、
そして、狭い女の子用のベッドで、
ひっついて、手を離さずに、オレたちは眠った。



翌日。

ピンポンピンポンピンポンピンポン!!!
ロハン先生の家で、殴りこむようにインターフォンを押し続けた。

「〜〜ッッ何だ、五月蝿いなぁ〜・・・」
溜め息まじりのロハン先生が、物憂いそうに玄関を開けた。

「おいッロハン先生ッッ!!
 24時間経ったぜッ早くを元に戻せよなッッ!!」
ドアが開くと同時に、オレはロハン先生に詰め寄った。
後ろで、が心配そうな顔をしている。

「あ・・あぁ、君達か・・・
 もう来たのか、早いな・・・」
うんざりした顔でロハン先生がオレたちを家へ入れた。
誰の所為でこんな面倒なことになったと思ってんだッ!!


中に入ると、昨日と同じように、紅茶がテーブルに出た。
飲んでる余裕なんて無い!

「ほら、ロハン先生、早くッッ!!」
オレは、をロハン先生へと押し付ける。

「〜〜・・・分かったよ。
 ・・・ヘブンズ・ドアー!」
漫画のキャラクターみてーなスタンドが飛び出して、
の体が本みてーになった。

「えーっと・・・」
ロハン先生は、昨日書いた文章を消そうともせず、
もたもたしてやがる。

「おいッ!!
 ロハン先生ッッ!
 もう、読むのはナシだぜ!
 昨日、オレとが何回シタか、とか、そーゆーこと読むなよなッッ!!」
オレがそう叫ぶと、
の顔が真っ赤になった。のは、分かる。
何故か、ロハン先生まで顔が赤い・・・

もしかして、ロハン先生、オクテなのかな・・?
なんか、漫画一筋って感じだし、
奇人ってぇ噂らしーからなあ。
恋人とかいそうにねーしな。

「そっ、そんなこと読むわけないだろッッ!
 ・・・ほら、ちゃんと消したぞ。
 君達は、また会話が出来るよ。」

ドギュン!と、が元に戻った。

「ナランチャ、私・・・」
が、オレをじっとみつめた。

!オレの話、分かる?」

「!うん!分かるよ!ナランチャ!!」

オレたちは抱き合って、きゃーきゃー言って喜んだ。

「あぁ、、・・・良かった!!」
オレは、の顔が見えるように、少し腕の力を弱めると、
と見つめあう体勢を取った。

、・・・ありがとう・・・」

「?
 どうしたの?ナランチャ?」

が笑っていてくれたから、オレ、安心して、24時間過ごせたんだ。
 それに、さ。
 本当だったら、昨日みたいに、オレはイタリア語、は日本語しか話せないはずだろ?
 がイッショーケンメー勉強して、イタリア語を話せるようになったから、
 オレとも話せるようになったんだ、って思ったら、すげー感動してさ。
 だから、さ・・・
 に、オレ、すっげー感謝してるッッ!!!」
オレは、にっこりと笑った。

「・・・ナランチャ・・・」
は、少し目を潤ませてる。

「ナランチャ、私も、本当に感謝してるの。
 昨日ね、すごくビックリしたけど、
 ナランチャがずっと手を繋いで、笑ってくれて、
 私を安心させてくれてたから・・・
 だから、私、不安なんてなかったよ。
 本当にありがとう・・・」

・・・」

オレたちは、自然と顔を寄せ、キスをしようとした。

・・が・・・

「こほん!こほん!!」
ロハン先生が、わざとらしい咳払いをした。

あ、やべ。
ここ、ロハン先生ん家だった・・・

「あはは・・・」
オレは愛想笑いを浮かべた。

「・・・で?
 君達の愛は、本物だった、って証明されたわけだ?」
ロハン先生は、ちょっと不満そうに言った。
絶対、邪魔する気だったんだな。くそう。
・・・でも・・・

「あぁ!
 オレとは本当に大好きだ!って思ってるぜ!
 でもさ!
 それって、ロハン先生のお陰かもな。
 なんか、悔しいけど・・・
 昨日のことで、と前よりもっと仲良くなれた、そんな気がするぜ。
 ありがとな!」
オレがにっこりとロハン先生に笑いかけると、
ロハン先生は一瞬、きょとんとした顔をして、そして、
また、もとの不機嫌そうな顔に戻って、ふーん、と言った。

「・・・ま、その様子じゃあ、ぼくへの攻撃もして来なさそうだし。
 あの書き込み、消してやるよ。
 ヘブンズ・ドアー!」

いきなり、オレも本になり、
昨日書き込まれた『岸辺露伴に攻撃出来ない』という、
とんでもない文章は消された。

「これで、もう、自由の身、ってぇわけだ?!」

「まぁ、そうだな。」

オレは、にやり、と笑った。
そんなオレに気付いて、ロハン先生が、シマッタ!という顔をする。
それより早く、
「エアロスミスッッ!!」
エアロを発動させると、
ロハン先生の周りを高速で飛行させた。

「ナランチャッ・・おまっ・・・」
エアロに気を取られている隙に、

「うおりゃあああァァァァッッッ!!!!」
ボゴオオオォォォ!!!!

ロハン先生の顔面目がけて、思いっきりブン殴ってやった。

「ぐはぁっっ・・・
 す、素手・・だ、と・・・?!」
ドーン、と、床に倒れこむロハン先生。

「エアロで撃ったら、殺しかねねーからなァ。
 日本でそんなことしちゃあ、に迷惑かけちまう。
 一応、これでも気ィ使ったんだぜ?」

「う・・うぅ・・・
 やっぱり君は・・本物のギャングらしい・・・
 ま・・漫画のネタに・・なりそうだ・・よ・・・」
ガクリ。
腫れた顔のロハン先生は、そのまま気を失った。

「はぁ〜、どこまでも漫画、なんだな。
 ある意味すげぇや。
 それじゃあな、ロハン先生!
 アリーヴェ・デルチ!」

オレはの手を掴むと、
ロハン先生の家をあとにした。



「なぁ、。」

「なぁに?ナランチャ?」

「大好きだぜ!」

「・・・うん!私も、ナランチャ大好き!」

やっぱ、言葉が通じるって、素敵だ!
オレも、日本語がしゃべれたらいーのにな。



TO BE CONTINUED


☆☆☆

露伴編おしまいです☆
もうちょっとだけ日本の夏休み編はつづきます☆


↓宜しければ感想などどうぞ♪


【戻】