6花より団子


ロハン先生の家をあとにすると、
オレとは手を繋いで、駅の方へと向かった。

「アッ!ほら、見て、ナランチャ。
 明日、花火大会があるんだって!」
町のあちこちに貼られてあるポスターを見ながら、が言った。

「花火大会?」

「そう。お祭りなんだよ。」

祭りかあ。
なんか楽しそう!

「そうだ!
 浴衣着ようよ。」

「ユカタ?」

「そう。
 日本の着物でね。
 花火を見るときは、皆着るんだよ。」

へぇ〜〜日本の着物かあ。
面白そうだな!

「ナランチャ、こっち!」
がオレの手を引っ張る。
向かったのは、でっかいデパート。

ユカタの特設コーナーへと連れて来られた。
「ほら、見てー!
 これなんか、ナランチャに似合うんじゃないかな?」
2、3着を既に手に取り、オレに合わせる。

「え、オレ?
 が着るんじゃあないの?」
不思議に思い、尋ねた。

「え?私のじゃないよ。私、持ってるから。
 ナランチャ、持ってないでしょ?
 買ったげるよ!」
にこにこと、楽しそうにユカタを選ぶ

が喜んでるから、いっか!
それに・・・
日本の着物、かあ。
オレに似合うかなっ。


鏡の前でユカタをあれこれ自分に当ててると、
のいる方から男の声がした。
見ると、2人の学生がに声をかけてやがるッ!

オレはユカタを放り投げ、
と学生の間に割り込み、そいつらを睨みつけた。
「てめーらなんだ?!
 人の女に勝手に話しかけてんじゃあねーぜッッ!!」

オレが怒鳴ると、
「ちょっ、ちょっと待って、ナランチャ!
 この人たち、私の友達なの!」
がオレの背中を掴んだ。

えっ・・・と、ともだち?!

目の前の学生2人は、ビックリした顔をして、
オレとを見比べた。

「あ、ごめんなさい。
 彼ね、ナランチャ。
 私の、彼氏なの。」
は、日本語でオレを紹介してるみてーだ。

「ナランチャ、あのね。
 この人は虹村君。
 で、この人は広瀬君。
 2人とも、仗助君と同級生なの。」
の口から、あのイヤなジョースケの名前が出てすげーヤな気分だったが、取り敢えず、
「どーも」
と、頭だけは軽く下げた。

「なんだよー、彼氏なんかいたのかよ?」

さんなら居てあたりまえですよ、ね?」

軽く話すと、2人は去って行った。
ふー、良かったぜ!
には男、近づけさせたくねーからな、友達とは言え!

オレ達は気を取り直してユカタを選んで、家路に着いた。
(結局、が選んでくれた。)


花火大会当日。
オレとはユカタを着て、ウキウキと玄関を出た。

「あら、2人とも、花火大会に行くの?
 いいわねぇ、浴衣着て」

お隣りのトモコさんがそう言った。

「いってきまぁーす」


祭りの場所は、イタリアの祭りと変わんねーくらい、人がいっぱいだった!
オレははぐれないように、の手をぎゅっと握った。

どーーーん・・・

大きな音を立てて、花火が上がる。
これが日本の花火かぁ。

・・で、も・・・・

!あれ!すっげー美味そうッなにあれッ!」

正直、オレは花火よりも食いモンの方に興味があった。
パスタに似た麺が上げる匂いが香ばしくてたまんねー!

「あぁ、焼きそば?食べる?」

「うん!食うッ!」

ハシが使いづらかったけど、なんとか自分で食べられた!
すっげー美味ェ!

は、りんご飴ってやつを食った。
真っ赤なりんご飴は、ユカタを着たによく似合ってた。
食いモンを、似合う、とか言うと変かもしんねーけどさ。
なんか、似合ってた。
そうに伝えると、嬉しそうに笑った。

他にも色々買い食いをし終わった頃には、花火も終わりに近づいてきてるみてーだった。
クライマックス!て感じで、どんどん大きな花火が次々と上げられていたから。

「なぁ、もうすぐ終わりじゃねえの?なんか、クライマックス!って感じじゃん?」

「ナランチャ、凄い!よく分かったー!今、いっぱい大きな花火が打ち上げられてるから、もうすぐ終わっちゃうんだよ」

なんだか寂しいね、と、は言った。

「寂しくねーよ」

「?」

「来年も、また見に来ればいいことだぜ!」

オレは笑って、の手を握り直した。
そしたら、もにっこり笑った。



TO BE CONTINUED


☆☆☆

日本の夏休み編もこれでおしまいに近づいてきています。
ナランチャの浴衣姿、見てみたい!


↓宜しければ感想などどうぞ♪


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