独占欲


「最近、大人っぽくなったよねー」
「あぁ、色気が出てきた」
光忠と鶴丸の傍を通った大倶利伽羅は、「?、何の話だ?」と無言で二人を見た。
「あぁ、倶利伽羅。ホラ、のことだよ。最近すっかり幼さが抜けて大人っぽい色香が出てきたじゃないか」
ふわりと笑う光忠に向かって、カッとなった大倶利伽羅は突然、抜刀し光忠に切っ先を向けた。
「ちょっ、何?!倶利伽羅、危ないよっ?!!」
焦った二人は大倶利伽羅をなだめ、大倶利伽羅はしぶしぶ刀を納めた。
「アイツをそんな目で見るな」
二人はきょとんとして、それから、爆笑した。
「なんだい倶利伽羅、酷い独占欲だね」
「君がそんなに溺れているとは知らなかったよ」
アハハハハハ・・・・
笑い転げまわる二人を呆れたように見つめ、これ以上何を言ってもムダだと悟った大倶利伽羅は足早にその場を去った。
しばらく行くととばったり出会う。
「あ、大倶利伽羅さん。美味しいお茶が入ったんです。飲んでいきませんか?」
ふわふわした笑みを向けられて、大倶利伽羅のイライラもするりととけていった。
化粧を濃くしたわけでもない、髪型や服装を変えたわけでもない。
醸し出す雰囲気、所作が何となく色香を帯びてきたのだ。
自分の所為だと自惚れていいのか・・・
大倶利伽羅は笑みがこぼれるのを禁じ得なかった。
「あぁ、頂こう」
に導かれ部屋へ入る。
この部屋へ遠慮なく入れるのもオレだけだし、を好きにしていいのもオレだけだ。
光忠の言った「酷い独占欲」の塊だな、と、改めて実感し、一人自嘲した。



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