出逢い


大倶利伽羅さんを初めて見た瞬間、鼓動が止まりそうになった。
褐色の肌、先端だけ赤い髪。
今まで好んで見ていたアイドルグループの誰とも似ていない均等のとれた美しい姿。まさに刀剣の化身。
瞼を開くと美しく輝く金色の瞳。
その瞳をこちらへ向けたくて。
「あの・・大倶利伽羅さん・・・」
名を呼ぶと、ギラギラとした視線が向けられる。
なんて綺麗なんだろう。
男の人に綺麗と言っていいか分からないけれど、今まで見た中で一番綺麗だ、と、素直にそう思った。

懐かしい一目惚れの事を大倶利伽羅さんに話すと、頬を上気させ睨みつけるように私を見た。
きまりが悪い時の癖だ。きっと照れているのだろう。
「・・・他のヤツらには話していないだろうな?特に光忠・・・」
「恥ずかしすぎて、誰にも言えませんよ」
「・・・なら、いいが・・・」
ぷい、とそっぽを向く。
「・・・気付いた時には、オマエを目で追ってた」
少し沈黙があって、ぽつりと低く、口を開いた。
「出逢ってからはだいぶ経った頃だったが、何故か胸がザワついて・・・他のヤツらと楽しそうにしてるのが気に喰わなかった」
相変わらず大倶利伽羅さんはそっぽを向いたままだったけど、彼の耳が赤く染まっている。
私は静かに次の言葉を待った。
「光忠に問い詰められて・・・それで、・・・自覚したんだ。
 アイツにそそのかされてオマエに打ち明けたが・・・結果、良かったと思っている」
珍しく言葉数が多い。
ゆっくりと、赤い顔をこちらへ向けた。
「アンタとこうしていられて良かったと思ってる」
胸がぎゅうっと苦しくなる。
告白された時も、お付き合い始めてからも、一度も好きだとかそういう言葉は聞かないけれど、それでも、寡黙な彼からは言葉以上に想いを伝えて貰っている。なんて贅沢者なんだろう。
思わず大倶利伽羅さんに抱き付いた。
「わっ?!」
勢いよかったので、驚いたみたい、いつも平静な彼の珍しい顔。
嬉しくて頬にキスすると、諦めたように、「あー、くそ・・」と文句を言いながらも私をきつく抱き締めてくれた。



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