縁側に座って池の方をぽんやりと見ている大倶利伽羅さんを見つけた。
いつもピリピリしてるイメージだから、なんだか得した気分だ。
「大倶利伽羅さん」
隣りに座ると、無言で私を見る。少しだけ目が優しく笑った。
いつも怖そうな目をしている大倶利伽羅さんが私にこうして優しい目を向けてくれることがこの上なく嬉しかった。
「あ、そうだ」
「?」
懐から赤いリボンを取り出すと、大倶利伽羅さんの髪を手ぐしで梳き、右側の少し長い赤髪を束ねた。
「うん、思った以上に似合います。大倶利伽羅さん、赤が似合いますね」
私がふふっと笑うと、「そうか?」ときょとんとした。
「じゃあ、には何色が似合うだろうな?」
言いながら私の髪を撫でる。
その指があまりに優しいので、うっとりと頬を染めた。
「オレと同じ赤色だとイイ」
髪を撫でていた指が頬に向かい、そして唇に触れた。
「おおくりか・・・」
彼の名を呼ぼうとしたが、先が言えなかった。
大倶利伽羅さんの瞳が黙れ、と言っている。
目を逸らせず、ジッと見つめると、大倶利伽羅さんの顔が近付く。
私は目を閉じた。
重なる唇が熱い。
食むように触れる唇がとても気持ち良く、とろけそうになる。
私は大倶利伽羅さんのシャツを掴んだ。
時がゆるりと流れる。池の鯉が跳ね、鳥がさえずった。



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