雨
「よく降りますね」
降りしきる雨を見つめ、障子を閉めようとした。が。
「開けといてくれ」
短く大倶利伽羅さんが制止した。
「・・はい」
閉めかけた障子を開けて、大倶利伽羅さんの隣りに座る。
雨音がザーザーと響く。
「大倶利伽羅さん、雨がお好きですか?」
「・・・いや、好きという程ではないが、嫌いではない」
外の雨を眺める大倶利伽羅さんの金色の瞳をこちらへ向けたくて、私は大倶利伽羅さんの膝に手を置いた。
「大倶利伽羅さん、私が好きですか?」
私の問いに目を丸くする。
「・・・・嫌いではない・・・・」
もごもごと言葉を紡ぎ出す。
が、私の欲しい言葉はそれではない。
「ねぇ、大倶利伽羅さん!・・・好き?」
身を乗り出して大倶利伽羅さんの顔に近付けば、少し頬を上気させ、「・・ああ・・」低く唸った。
そうじゃない。
「ちゃんと言って欲しいです」
私は大倶利伽羅さんのこと大好きなんですよ?
そう伝えると、大倶利伽羅さんは近付き、一瞬、軽く唇と唇が触れた。
大倶利伽羅さんの目がそっぽを向く。
「・・・大倶利伽羅さんはズルイ」
私が拗ねると、「そうか」と大きな手で私の頭を撫でた。
もう何も言い返せない。
大倶利伽羅さんの気持ちは充分よく伝わってくる、言葉がなくても。
ブッキラボーな彼がここまでしてくれてるのだから。
私は観念して、大倶利伽羅さんの胸に頭を預けた。
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