祈り
勝ち戦が続き、宴が夜毎盛大なものになっていき、今夜に至っては夜更けてからもなかなか終わらなかった。
オレは黙々と呑み、他のヤツらのバカ騒ぎをぼんやりと見ていた。
ふと、がよろよろと廊下へ出ようとしているところが目に入った。
気になって盃を置き、席を立つ。を追うと縁側に座り込んでいる。
「どうした?」
傍へ寄ってしゃがみこむと、少し苦しそうな顔を見せた。
「気分が悪いのか?」
抱き寄せると、こくん、と頷く。
「酒を呑まされたのか?」
呑まないに面白がって呑ませたのかも知れない。(だとしたら許せねェ・・・)
だが、は小さくふるふると首を振った。
「・・・呑んではいないのですけど・・・お酒のにおいがいっぱいで・・・」
口をきくのも辛そうだ。
「もういい、喋るな」
短く言い放ち、をゆっくり立たせ、部屋へと連れて行った。
布団に寝かせると、少しはマシになったのか、瞳を閉じかけた。
が、オレが布団の隣りにごろりと横になると、は目を開け、こっちを見つめた。
「あの・・大倶利伽羅さん、・・宴に戻らないと・・・・」
「あぁ、別にいい」
「でも・・せっかくの会ですのに・・・」
「アイツらが楽しんでいればそれでいい。オレは充分に呑んだ」
「・・・ごめんなさい・・・」
弱々しく差し出された手をしっかりと握り絞める。
嬉しそうに微笑んで、そしてまた瞳を閉じた。
ゆっくり眠れるよう、柄にも無くオレは祈った。
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