問1


は倶利伽羅のことが好きなのかい?」
さも当然のように出た光忠の言葉に、は相当焦った。
「ふわぁぁっ、どっ、どうしてそれをっ・・・」
「いやー、隠しきれてないよ?色々と」
「えぇーーっ」
赤面して俯く。
「倶利伽羅には言ったのかい?」
「いえ・・・だって私、重大な任務がありますし・・・」
「それとこれとは別だよ。まだ若いんだからサ、恋愛しなよ」
「・・・いいのでしょうか・・・」
「見たところ、倶利伽羅もまんざらではなさそうだしね」
「えぇっ?!」
を見つめては頬を赤らめているよ」
「そ、そんなまさか!」
「ホントだってば」
縁側で楽しそうに笑い合う二人の後ろを、当の大倶利伽羅が通りかかった。
面白くなさそうに二人を睨みつける。
「おや倶利伽羅。どうした?そんなしかめっ面して。何かあった?」
理由は分かりきってるハズなのに、光忠は敢えてトボケて訊く。
そんな光忠の腰を、ゴン、ゴン、と数回蹴った。
まるで、そこを早く退け、と言わんばかりに。
「ハイハイ。倶利伽羅、もう我儘なんだから」
クスクス笑いながら光忠は立ち上がり、去り際に一言、
「酷いヤキモチだね」
と低く、大倶利伽羅の耳元で呟いた。
途端、大倶利伽羅の顔が真っ赤に染まる。
「・・て、めェッ」
ギラリと光忠を睨みつけるも、光忠は既に廊下の角を曲がろうとしていた。
そして、大倶利伽羅を見て、意味深げにニヤリと笑い、消えた。
「光忠のヤロウ・・・」
低く唸りながら、ふと、眼下のを見た。不安そうに大倶利伽羅を見つめている。
「何でもねーから」
それだけ呟いて去ろうとしたが、の指が大倶利伽羅の腰布を掴んで放さない。
「・・・あ?」
「あの・・・い、一緒に、おしゃべり、しませんか?」
「オレは別に話すことなんか・・・」
言いかけて、大倶利伽羅はしまった、と思った。
が目を潤ませて戸惑っている。
嘆息し、「少しだけなら」ドカリとの傍に座ると、庭を眺めた。
「ありがとうございます」
お礼を言ったはそれ以上語らず、二人、静かな時間が流れていった。
交わす言葉は無く、それでも、心地良い沈黙。二人はそれが嫌ではなかった。

それを後ろで見ていた刀剣たちは・・・
「アレで何が楽しいのだろう?」
と、不思議そうに首を傾げた。



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