宝石


黒白さんの屋敷に来てから、数日が経ちました。
行き先が少しだけ不安ですが、黒白さんが居れば安心出来るのです。
黒白さんの怪我はたいしたこと無かったみたいで、今ではすっかり良くなっているようです。
私はとても安心しました。

黒白さんは専ら夜にお仕事をしているみたいです。
昼間は私の相手をして下さっているから、少しだけ、悪いなぁと思います。
でも、嬉しさの方が勝って、いつも黒白さんと一緒に行動しています。


夜。
少しでもお役に立ちたい、と、お仕事の合間を見つけて、コーヒーを持って行きました。

「あの、黒白さん、・・良かったら、コーヒー淹れましたので、・・・・」

すると、黒白さんは少しだけ疲れた顔をこちらに向けて、それでも優しい笑みを浮かべて、

「あぁ、、ありがとう、丁度喉が渇いていたんです」

そして、コーヒーカップに口をつけました。

「あの、黒白さん、差し出がましいことかもしれませんが・・・」

「? なんです?」

「何か、お役に立てることはありませんか?」

すると、黒白さんは少しだけ驚いた顔をして、そしてすぐに元に戻りました。
すっ、と立ち上がると、私を抱き締めてくれます。

「う、黒白、さん・・・?」

は充分に役に立ってくれていますよ」

「えっ?!」

に会うまで、私は孤独だったのです」

「エリシュカ様や、部下の方たちもたくさんいらっしゃるのに?」

「ふふっ、全然違いますよ?
 私には、だけです。
 が居るから、私は孤独ではないのです」

黒白さんの腕の力が強まって、私は黒白さんの強い腕の中。
何故だか、涙がぽろぽろとこぼれてしまいます。

「おや、すみません、、痛かったですか?」

「いいえ、いいえ、そうではないのです。
 ただ・・嬉しかった、ものですから・・・
 黒白さん、私はいつでも傍に居ますから、だから・・・・」

黒白さんの綺麗な指が、私の頬の涙をすくって下さいました。

「さぁ、もう夜も遅い。
 先に休んでいて下さい。
 すぐに、一緒に寝ますから」

それは本当でした。いつも、朝、目が覚めると、隣りで黒白さんが眠ってらっしゃるのです。
それでも、私はこう言いました。

「本当ですか?
 本当に、一緒に寝てくれますか?」

まるで、駄々っ子のように。

「本当ですよ。
 さぁ、ベッドまで送りましょう」

私は、黒白さんに肩を抱かれ、寝室まで連れて行って貰いました。
ベッドに入ると、お忙しいでしょうに、黒白さんは私が寝付くまで手を繋いで下さいました。指を絡めて。
温かい黒白さんの手。
すぐに睡魔が襲い、私は夢の中へ・・・・・・・・・


翌朝。
目が覚めると、やっぱり、黒白さんが隣りで眠ってらっしゃいました。
私はほっとして、黒白さんの寝顔を見つめました。
きっと昨夜も遅かったのでしょう。
起こさないように、私は、いつまでもいつまでも、黒白さんの寝顔を見つめていました。



☆☆☆

初めてのちゃん目線。
あの後、のお話です。


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