優しすぎる狼4
幕の内さんと戦って、数日後。
私は、ラムダさんの許可を貰って、ヴォルグさんをドライブに誘った。
実家から車を借りて、レンタルしたロシアのポップスCDをセッティングして。
今日は、ヴォルグさんの気を晴らすのが、目的!
ヴォルグさんが、幕の内さんのお見舞いに行きたい、と言うので、まずは病院へ。
勝った幕の内さんの方が入院しているなんて・・・複雑な心境。
ヴォルグさんだけ病室に向かい、私は、駐車場で待つことにした。
しばらくすると、ヴォルグさんはりんごを持って帰って来た。
「わ、たくさん頂いたんですね?」
「ハイ。僕、りんご、大好きでス」
微笑むヴォルグさんが眩しい。
そうなんだ、りんごが好きなんだ!メモメモ!!
「じゃあ、今度、アップルパイ作りますね!」
「わぁ、ゼヒ、お願いしまス!」
ああ、ヴォルグさんの笑顔、りんごみたいにジューシーだよー。
ステキです、ヴォルグさん。
ヴォルグさんがシートベルトを着けたのを確認して、アクセルを踏む。
「、今日はドコ行きますカ?」
「えへへ、内緒です」
私の答えに、そわそわしたり、わくわくしたりするヴォルグさんが可愛い!
車内では、ロシアのポップスが流れている。
「あ、コレ、知ってマス。有名な歌デス。
Я люблю тебя!(ヤ リュブリュー ティビャ)、
Я люблю тебя!(ヤ リュブリュー ティビャ)、
Я люблю тебя!(ヤ リュブリュー ティビャ)・・・」
曲と一緒に歌うヴォルグさん、なんだか楽しそう。
CDレンタルしてて良かった!と、内心ガッツポーズ。
「や、りゅ・・??
それ、どーゆー意味なんですか?」
「意味、ですカ・・・」
少し照れ臭そうに笑うヴォルグさん。
何だろう??
「愛してル、っていう意味デスヨ」
そう答えると、また、歌いだした。
きっと、照れ隠し、なんだろう・・・
・・愛してる、・・・・
今、ヴォルグさんは、愛してる、って、歌ってるんだ・・・
歌だとは分かっていても、私もなんだか気恥ずかしくなって、頬を染めた。
車内カラオケしつつ、暫く走らせると、海沿いの、ロシア料理レストランに着いた。
そう。今日は、母国のロシアに浸ってもらおう!と計画している。
このレストランは、ロシア人がオーナーだから、きっと味も本場なハズ!
「懐かしイ!美味しいネ、!」
ボルシチやピロシキを食べながら嬉しそうな顔をしてくれているから、喜んでくれてるのかな!
食後は、海辺を散歩!
私たちは、さっきの歌を口ずさみながら(上手く発音出来ないけど)海風を受ける。
「この海のずーっと向こうに、ヴォルグさんの母国、ロシアがあるんですね!
ね、ヴォルグさんがもしロシアに帰る時には、一緒に連れて行って下さいよ!どんなところか、見てみたいです!」
私は冗談ぽく、でも、半分本気で、勇気を出して切り出した。
「いいですヨ。にもロシアを見せてあげたいデス」
にっこりと笑うヴォルグさんに、私も頬が緩む。
私たちは、約束の指きりを交わした。
☆☆☆
一歩をお見舞いに行った帰りがこんなだったらいいなあ、と。
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