優しすぎる狼5
「もうすぐ千堂選手と試合。
ダカラ、今日、最後の休暇。
、カフェでおしゃべり、しませんカ?」
なんとヴォルグさんの方から誘ってくれたーー!!!
すっごく嬉しい!
私は小躍りしながら、お気に入りのワンピースへと着替えて、ヴォルグさんの待つ玄関先へと急いだ。
ヴォルグさんはラフな格好をしていたけれど、赤毛の美青年は何を着ても似合う。
肩を並べて歩いていたら、手が触れた。
どきん!!
心臓が跳ね上がる。
でも、ここは・・・・
「ヴォ、ヴォルグさん、・・・て、・・手を繋いでも、いいですか?」
思い切って言っちゃったよ。
真っ赤な顔をしてるだろうな、私。
「手、ですカ?イイですヨ?」
ヴォルグさんはにっこりと笑って、私の手を取ってくれた。
顔がキレイだから華奢なイメージがあるけど、やっぱりボクサーだ。
がっしりとした男の人の手。それに、とても温かい。
私の手が離れないように、ぎゅっと、でも、優しく、握ってくれている。
私、今、ヴォルグさんと手を繋いでるんだ・・・・
それだけでめまいがしそうだった。
行き着けのカフェに行き、しばらくおしゃべりを楽しむと、私はあることを思いついた。
「ね、ヴォルグさん!プリクラ撮りませんか?!」
「ぷり・・・?」
「写真です。写真が、シールになってて、何処にでも貼れるんですよ♪」
「楽しそうですネ。何処で撮るデスか?」
私達は、カフェをあとにして、近くのゲームセンターに向かった。
日曜の夕方だから、人が多い。
プリクラも順番待ちだったけど、さっきみたいに、ヴォルグさんが手を繋いでくれていたから、時間なんてあっという間だった!
初めてのプリクラにヴォルグさんは驚いていたみたいだったけど、カメラ目線でしっかり笑顔。さすがプロボクサー。撮られ慣れてる。
どきどきしたのは、私の方。
だって、ヴォルグさんの顔が、すぐそこにあったから・・・・
取り出し口から出てきた写真は、やっぱり、私の顔が赤い・・・
ちょっと恥ずかしい、と思いつつも、ヴォルグさんと二人で写真を眺めた。
「ウワァ!凄いデスね!すぐに写真が出来ルなんテ!」
ロシアの、電気が通っていない地方から出て来たヴォルグさんには珍しいのかな。
私は、ハサミで2つに切りたかったのだけれど、ハサミを設置しているコーナーも人でいっぱい。
「ヴォルグさん、うちに寄って貰ってもいいですか?
あ!アップルパイも焼いてるので・・どうですか?」
前に、女の子の部屋には上がれない、と断られていたので、ちょっとびくつきながらも訊いてみた。
「・・・・の家に、上がってモ、・・イイですカ?」
「!! 勿論です!」
「じゃあ、チョットだけ・・・」
やったーーー!!
私達は、手を繋いで、家路についた。
家に着くと、私はアップルパイと紅茶を用意し、小さなテーブルに並べた。
気付くと、ヴォルグさんがキョロキョロしてる。
「わっ、ヴォルグさん、あんまり見ないで下さいねっ・・・・」
恥ずかしさから、挙動不審になる私。
「! ご、ごめんネ、!
の部屋、ボクシングの物が多いカラ・・・・
ボクの、ビデオとカ、写真、とカ・・・・」
ヴォルグさんが、少し頬を染めて恥ずかしそうに言う。
・・・確かに・・・
私の部屋には、ボクシング雑誌が多く、ヴォルグさんのビデオを揃え(見出しに「VOLG」と書いてる)、写真たてにはお気に入りの写真が飾られている。
私は慌ててヴォルグさんの写真を机の引き出しにしまった。
「ごっ、ごめんなさい!気にしないで下さいね!
あのっ・・あ、アップルパイ、どうぞ!頑張って作ったんです。」
「あ、ありがとウ。いただきマス。
・・・・オイシイ!!」
「! 良かったー。」
「明日カラは本格的に、減量入るカラ、今日、のアップルパイ食べれて嬉シイ。」
「っ! ・・・私も嬉しいです。ヴォルグさんに食べて貰って。」
それから、しばらくボクシングの話をして、プリクラの半分を持って、ヴォルグさんは帰って行った。
千堂さんとの試合、か・・・
大丈夫だよね、いっぱい練習してるし、なんといっても強いんだから、ヴォルグさんは!!
私は、幕の内さんとの試合を思い出しながら、少し不安になりつつも、ヴォルグさんを信じた。
☆☆☆
ちょっとしたデートが出来ればイイナァと思って書きました^^
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