すれ違い、勘違い 3





「山崎さん、・・・あの、・・・・」
広間で包帯等の整理をしていると、が恐る恐る声を掛けてきた。
「?、副長はここにはいらっしゃらないが・・・?」
「いえ、・・あの・・・山崎さん、に・・・」
「オレ?」
花咲く庭へ移動すると、もごもごと、が口を開いた。
「あの、私、・・・土方さんに、・・その・・・・」
「あぁ、・・・恋仲に、・・なったんだな?」
オレは息苦しく嘆息しながらそう吐き出した。
「いえ、そうではないのですが・・・土方さんに、それらしい事は告げられました」
(・・・だったら何だと言うのだ。わざわざそれを言う為に、オレを呼んだのか?気分が悪い)
胸にもやもやが広がり、ムカムカする。
「でも、私、本当に心からお慕いしている方が、他に、居て・・・」
「何だ?だったら、そいつに直接言えば・・・」
「・・・えぇ、なので、・・あの・・・・」
はっきりしないの言い方にもイライラとしはじめた。何だと言うのだ、一体。
だが、彼女の次の言葉を静かに待つ。
は伏せていた瞳を上げ、まっすぐにオレを見つめた。その目は迷いの無い、心の決まった視線だった。
「私、山崎さんを・・・お慕いしているのです。ずっと・・・こちらへ参る以前から・・・」
「っ!だ、だが、・・アンタは副長が・・・」
「ごっ、誤解です!私、本当に、団子屋で給仕していた頃から・・っ!」
「・・オレのこと・・・気付いて、いたのか・・・?」
「?!や、山崎さんも・・・?もしかして、私のこと、覚えてらっしゃるのですか?!」
「・・・・・」
「私、山崎さんに再会出来て、本当に嬉しかったんです。こちらへ来て、心細かったのですけれど、山崎さんがいらっしゃって、私、安心出来たんです」
は、熱のこもった目をオレに向けた。
(・・・本気、だ。は、オレのことを・・・)
オレはギュッと拳を握り締めると、苦しい息を吐き出しながら、呟いた。
「・・・オレも・・・アンタが・・・、誰にも渡したくない。副長にも・・・・」
「・・・山崎さん・・・」
「てっきり、もう、副長と・・・・監察方という立場上、平静を装っていたが、正直、嫉妬でどうにかなりそうだった」
の差し出した白い手がオレの指に触れる。
たまらず、オレは柔らかくその手を包んだ。




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