月と星と 3
「白い飯たァ・・・悪ィな、気ィ遣わせて。」
おにぎりと、歳三の好物である沢庵、それに、味噌汁を出すと、
歳三は少し頭を下げた。
「いえ、違うんです、土方さんッ。
今は、真っ白いご飯がフツーなんです。」
「・・・そうなのか。
ゼータクになったもんだな・・・」
ふっと笑いながら、ひとくち、ふたくち、と、頬張っていく。
ーー・・・あ、また・・・。
土方さんが、笑ってくれた・・・。
そんな歳三を見ながら、は嬉しくなり、頬を染めた。
「馳走になった。」
全て平らげた歳三。
「旨かったぞ。」
その言葉にも頬を染めながら、は、
「ありがとうございます。
あの・・・お風呂、沸いてます。
着替えは・・・後で買いに行くんで、
取り敢えずそのままの服を着てて下さい。」
「あぁ、分かった。」
は、歳三をお風呂場へ連れて行くと、
「これで頭を洗います。
そして、これで体を洗います。」
と、シャンプーやボディソープについて説明した。
「ん・・だいたい分かった。」
そう言うと、さっさと服を脱ぎ始める歳三。
慌てては脱衣所の外へと逃げるように出た。
中からは服を脱ぐ衣擦れの音が聞こえ、
はなぜか頬が赤くなってしまった。
しばらく静かだったが・・・
ガチャッ
「おい。おい、!」
「え?!あ、はい!?」
「どーやって洗うんだ?コレ・・・?」
タオルを巻きつけただけの半裸の歳三が顔を出す。
「えっ・あのっ・・・えと・・・
じゃ、じゃあ、洗ってあげますっ・・・」
おろおろしながら、はジーンズの裾をまくりあげ、
お風呂場へと入った。
「あぁ、悪ィな。」
歳三は、腰掛に座ると、に背を向けた。
ゴシゴシ・・・
背中を洗う。
その背中は広く、そして、逞しく、
まさに「侍」、といった貫禄を醸し出していた。
ーー・・・土方さんの背中・・だぁ・・・
すごい、私・・・
土方さんに触ってる・・・
「あ・あの・・・髪も洗いましょうか?」
「あぁ、頼む。」
低くて甘い声が室内に響く。
ーー・・・土方さんの声・・・
こんな声なんだなあ・・・
しみじみと聴き入る。
ぽんやりとしながらも、
ゴシゴシと歳三の髪を洗うのだった。
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